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Thomas Ruff, Substrat 41 III, 2009

       

トーマス・ルフ|Two of Each

2025年10月18日­(土)- 12月13日(土)
12:00-19:00 *11/7(金)-9(日)のアートウィーク東京期間中は、10:00-18:00。
日 / 月 / 祝日休廊 *ただし、11/9(日)は開廊。

この度、ギャラリー小柳では2025年10月18日(土)から12月13日(土)の会期で、トーマス・ルフによる個展「Two of Each」を開催いたします。

トーマス・ルフは、デュッセルドルフ芸術アカデミーでベルント&ヒラ・ベッヒャー夫妻の薫陶を受けた、ドイツを代表する写真家です。ベッヒャー派の特徴であるタイポロジー(類型学)的な視点を踏襲しながらも、ルフの実践は自らシャッターを切る行為から既存のイメージの再構成まで幅広い展開を見せ、一貫して写真表現の本質を問い続けています。

2016年に東京国立近代美術館と金沢21世紀美術館で開かれた日本初の回顧展でその存在を知った方も多いかもしれませんが、ギャラリー小柳で初めてルフの個展を開催したのは、今から27年前、1998年のことです。彼の最初のシリーズ作品である〈Interieurs室内〉のほか、公的な天体写真のネガを素材にした〈Sterne星〉や、特殊な暗視レンズで夜の街を撮影した〈Nächte夜〉を展覧し、話題になりました。その後も2002年に「Substrate」展、2009年には「cassini + zycles」展を行うなど、写真というメディアの新たな可能性に挑み続けるルフの多様な表現を度々紹介して参りました。

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本展は、ギャラリー小柳の開廊30周年記念展のひとつとして開催するもので、2014年の「ma.r.s. and negatives」展以来、11年ぶりの個展です。これまでに当ギャラリーで紹介してきたルフの代表的なシリーズから〈Substrate〉と〈negatives〉を改めて展覧するとともに、本邦初公開となる〈flower.s〉と〈untitled#〉も出展いたします。

〈Substrate〉は、2003年の森美術館の開館記念展でメインビジュアルのひとつとして起用され、注目を浴びました。その鮮やかな色彩は、実は日本の成人向けコミックやアニメから取り込んだイメージを幾重にもかけ合わせ、さらに別の画像を合成したもので、ルフは本作で「イメージ」の解体に踏み込んでいます。〈flower.s〉は、ルフが、20世紀ドイツの女性写真家であるルー・ランダウアーの花のフォトグラムを入手したことをきっかけに取り組んだシリーズです。草花をライトテーブルに並べてデジタル撮影し、コンピューター上で、画像の明暗を反転させるソラリゼーション効果を施したこの作品は、彼の〈Photogram〉シリーズと同様に、テクノロジーを用いて伝統的な写真技法の拡張を試みるものです。一方、近年の新作である〈untitled#〉シリーズでは、ルフは久しぶりにカメラを手に取り、ワイヤーで制作した構造物に回転や振動を加え、それらを長時間露光で撮影しました。1950〜60年代によく見られた実験写真の表現を現代に引き寄せ、光と影の線的な戯れを映し出しています。

展覧会タイトル「Two of Each」の通り、いずれのシリーズからも2点ずつを並べて展示します。かつてルフは「写真は少なくとも二つのコピーがなければ写真ではない」と言いました。「2点ずつ」という形式は、同じシリーズの中での反復や対比を時に強調し、イメージの多義性を浮かび上がらせることでしょう。それぞれのシリーズの2点の間に立ち上がる緊張や余白を読み解くことで、「写真とは何か」というルフの問いかけに改めて向き合う機会となりましたら幸いです。

展覧会初日10月18日(土)の午後5時から7時までは、作家本人が在廊し、レセプションを開催いたします。
当日はビューイングルームも開放予定で、ギャラリー小柳では初展示となる〈nude〉シリーズの1点もご覧いただけます。
この機会にぜひご取材いただけますよう、お願い申し上げます。

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