Hiroshi Sugimoto, Bay of Sagami, Enoura, 2026
       

杉本博司 海景 江之浦|前写真、時間記録装置

2026年7月4日(土)ー 9月12日(土)
12:00–19:00
日/月/祝日休廊、 夏季休廊:8月9日(日)ー17日(月)

[レセプション: 7月4日­(土)17:00–19:00]

6月16日(火)より東京国立近代美術館で「杉本博司 絶滅写真」展が開催されています。写真作品で構成する美術館での個展としては、2005年森美術館での「杉本博司 時間の終わり」以来となる本展は、「絶滅」をテーマに銀塩写真というメディアの終焉から人類文明の絶滅までをも見据えて、杉本博司の作品世界を展覧する大回顧展となります。

本展にあわせ、ギャラリー小柳では7月4日(土)から9月12日(土)の会期で「杉本博司 海景 江之浦|前写真、時間記録装置」展を開催いたします。本展では江之浦測候所から撮影された〈海景〉の全作品を一堂に展覧、また杉本自身が蒐集した化石を撮影し、プラチナプリントで制作した〈P.P.T.R.D.〉シリーズもあわせて展示します。

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海景 江之浦

写真、建築、造園、彫刻、舞台芸術、書と様々な領域に活動を広げる杉本博司。その芸術の原点は半世紀にわたってこだわり続けてきた「銀塩写真」にあります。〈ジオラマ〉〈劇場〉と共に初期三部作のひとつである〈海景〉は、杉本の銀塩写真の真骨頂と言えるでしょう。水平線を中心に海と空だけで構成されたミニマルな画面は、杉本の銀塩写真術だけが可能とする無限の階調によって生み出され、その静謐な世界は人間の視覚の限界を超えるものです。

「古代人が見ていた風景を、現代人も見ることは可能なのだろうか」という自らの問いに答えて、太古から変わらない空と海の風景を映し出し、人類の意識の始まりをたどる〈海景〉。自身の「原風景」と言う相模湾の海景を、杉本が小田原文化財団 江之浦測候所から撮り始めたのは2022年のことでした。漁船やボートが海に出ない元旦にだけ撮影が可能となる江之浦での海景の撮影は、杉本が新しい年を始める習慣となりつつあります。本展では、2022年の第1作から本年の2026年の最新作まで、すべての江之浦の海景を展覧するまたとない機会となります。

前写真、時間記録装置

甲殻類の化石は石を割ったときに現れでた化石で、写真のポジとネガのように二つになって、1億5000万年が凍結されているのだ。私はここに人類の歴史を超えて生命の歴史も辿ってみようと思う
── 杉本博司

杉本の写真と時間に向けた考察は太古の時代にまでも遡ります。杉本は長年にわたり化石を蒐集しており、その一部は江之浦測候所の「化石窟」で展示されています。人類の発生よりはるか昔に過去を正確に記録していた媒体である化石を「写真以前の時間記録装置である」として再び写真に定着させたのが〈P.P.T.R.D.〉(Pre-Photography Time-Recording Device)シリーズ。プラチナプリントが醸し出す銀塩写真とは異なる質感と豊かな階調のプリントをご覧いただけます。

展覧会の初日、7月4日(土)午後5時から7時まで、杉本博司を迎えてレセプションを開催いたします。東京国立近代美術館での「杉本博司 絶滅写真」展とあわせて、江之浦の〈海景〉が勢揃いする本展をぜひご高覧ください。