

束芋:息花
2015年2月14日(土)- 4月4日(土)
11:00–19:00
日 / 月 / 祝日休廊
この度、ギャラリー小柳では2月14日(土)から4月4日(土)の会期で、束芋の新作個展「束芋:息花」を開催いたします。
束芋は、アニメーションを用いた映像インスタレーション作品「にっぽんの台所」(1999年)で一躍注目を集め、以降、国内外の美術館における個展開催やグループ展への参加、最年少で招聘された「横浜トリエンナーレ 2001」をはじめ、2011年にはヴェネチア・ビエンナーレ日本館代表作家として選出等、数々の国際展に招聘され、着実にキャリアを積みながらますます活躍の幅を広げています。近年は、現代舞踏や伝統芸能とのコラボレーションやバンド活動など、さまざまなジャンルでその才能を発揮しています。
今回、束芋は、待望の新作アニメーション作品「あいたいせいじょせい」と、新作ドローイング、7点を本展で初公開いたします。
「あいたいせいじょせい」は、近松門左衛門作『曾根崎心中』の主人公「お初」と「徳兵衛」、そして吉田修一の小説『悪人』の登場人物「金子美保」と「清水祐一」等の恋愛にちなみ、「お初」と「金子美保」との比較の中で生まれてくるストーリーです。モチーフはソファとテーブル。束芋の創り出す「もしも・・・」の世界、それは物語の終焉の先への想像をかき立てることでしょう。
タイトル「あいたいせいじょせい」は束芋による造語です。束芋は、大正年間に「相対性理論」という言葉が訳された折「相対(あいたい)」が男女の仲を意味し、しかも「性」の文字がついたことから世間の誤解を招いたことや、「相対死に」という心中を連想させたという話から着想を得、「相対性」の中にいる女性2人という意味で「相対性女性」という言葉を作りました。「相対」を、(相対死に)や(会いたい)という意味も含ませたいと、すべて平仮名としています。
ドローイング作品シリーズ「flow-wer」は、人体の一部と花とが墨と蜜蝋着色で艶麗に描かれます。ドローイングで描かれる花と人体内臓のモチーフも、アニメーションで描かれる「お初/金子美保」と「徳兵衛/清水祐一」のモチーフであるソファとテーブルも、見えているのは容器のみ、つまり切り取られた花であり、臓器の一部であり、家具という「器」のみが、切り取られた時間の中で描かれます。
束芋はこう言っています。「花を摘み取って切り花にすること、臓器を器にすること、ある人の人生の一部分を小説や絵、映像に描くことは、この『息花』展では同じイメージを持ち、私がお届けするのは、その切り取った一部でしかないけれど、花には根が付いていること、臓器が魂を宿して息をしていたときのこと、ある人の描かれた人生の一時期の前後に続きがあることを想像して、すべての作品を作っている。」
オープニングには作家も来廊いたします。
ぜひこの機会にご高覧いただけますよう、ご案内申し上げます。
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